住宅ローンの滞納などを理由として、自己破産せざるを得なくなる場合があります。
そこで自己破産する前に、不動産を少しでも良い条件で売却したいと思う方も多いのではないでしょうか。
しかし自己破産をともなう不動産売却には、注意すべきポイントがあります。
そこで今回は、自己破産時の不動産売却について解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら自己破産をともなう不動産売却タイミングとは?
自己破産をともなう不動産売却には、以下の3種類があります。
●自己破産後に裁判所が選任する破産管財人が売却する
●自己破産後に破産管財人が選任されず、自分で売却する
●自己破産前に自分で売却する
それぞれどのような特徴があるのか、タイミング別に確認していきましょう。
自己破産後に破産管財人が売却する
自己破産後のタイミングでの不動産売却は、破産管財人がおこなうのが一般的です。
破産者が不動産などの一定以上の高額資産を所有しているとき、自己破産の申請は管財事件として扱われます。
管財事件において、破産者は予納金をおさめたうえで手続きを進めなければなりません。
このときにおさめる予納金の相場は、管轄する裁判所や破産事件の内容によって異なります。
負債額が5,000万円以下の個人自己破産の場合で50万円以上が目安ですが、あらかじめ予納金の相場について確認しておきましょう。
そして裁判所が選任する破産管財人が、不動産などの資産状況を調査します。
そのうえで不動産売却し、売却益を債権者に配当することで公平な債務の履行を目指します。
自己破産後に自分で不動産売却する
自己破産後のタイミングでの不動産売却では、必ずしも破産管財人が選任されるわけではありません。
たとえば、所有する不動産がオーバーローンであるときは同時廃止事件として、自己破産の手続き開始と同時に破産が完了します。
オーバーローンとは、住宅ローンの残高が不動産の売却価格を上回る状態のことです。
不動産の売却益は抵当権者が優先して回収するため、抵当権者以外の債権者にとっては、売却益の配当を得られる見込みはありません。
したがって、自己破産後のタイミングでも自分で不動産売却することが可能です。
あるいは、抵当権者が抵当権を実行し、不動産を競売にかける場合もあります。
なお、自身の所有する不動産がオーバーローンであるかどうかは、不動産会社に価格査定を依頼すれば確認できます。
住宅ローンの残債が査定価格を下回っていると、売却金でローンを完済することは困難です。
自己破産前に自分で売却する
自己破産後のタイミングでは、管財事件として扱われると自分では不動産売却ができなくなってしまいます。
一方で自己破産前のタイミングなら、自分での不動産売却が可能です。
売買契約にかかる諸条件(売却価格や引き渡しまでのスケジュールなど)は買主との交渉で決まるため、ある程度は自身の希望を反映させられるでしょう。
注意したいポイント
自己破産前に不動産売却してしまうと、財産隠しを疑われるリスクがあります。
自己破産する最大の目的は、借金の支払い義務を免除してもらう(免責を許可してもらう)ことです。
しかし財産隠しは免責不許可事由にあたり、自己破産しても借金は免除されません。
悪質であるとみなされると、詐欺罪が適用される場合もあるため注意が必要です。
財産隠しとはなされないために、破産管財人による不動産売却と同等レベルの配当原資を確保する必要があります。
加えて、不動産鑑定や査定書などを取得し、破産管財人が不動産売却をおこなったときの金額の証明も求められます。
過去の取引も2年程度さかのぼっておこなわれるため、自己破産前の不動産売却はご注意ください。
自己破産前に不動産を売却するメリット
自己破産前の不動産売却は、財産隠しとみなされるリスクがあるものの、注目したいメリットもあります。
どのようなメリットがあるのか、不動産売却時のポイントとともに確認していきましょう。
譲渡費用を経費に含められる
不動産を売却するときには、経費としておもに以下の費用がかかります。
●不動産会社に支払う仲介手数料
●各種税金(所得税、住民税、印紙税、登録免許税など)
●抵当権抹消登記費用
●住宅ローンの返済手数料
自己破産前の不動産売却であれば、これらの譲渡費用を経費として計上できます。
結果として、不動産売却にかかる経費を軽減できるメリットがあります。
自己破産後よりも高く売れる可能性がある
自己破産後の不動産売却では、競売にかけられる恐れがあります。
競売にかけられると、通常の不動産売却による相場価格よりも安く落札される可能性が高いでしょう。
しかし自己破産前に任意売却できれば、相場価格での売却を期待できるのがメリットです。
自己破産の諸費用を捻出できる場合がある
自己破産の申請にあたっては、弁護士費用などを捻出しなければなりません。
そこで自己破産前に不動産売却できれば、売却金から申し立てにかかる費用を工面できる場合があります。
また、債権者と交渉すれば引っ越し費用の控除を認めてもらえる可能性もあります。
自己破産後に資金を残せる場合がある
自己破産前なら、管財事件にならず予納金を納める必要もありません。
不動産売却にかかる費用を抑えられるため、債権者に対してより多くの返済が可能となり、結果として手元に残せる資金も多くなるでしょう。
自己破産をしても生活再建に必要な費用は残すことが認められているため、不動産売却によって資金を確保できます。
ローンの有無による自己破産時の不動産売却方法の違いとは?
住宅ローンの返済が終わっているかどうかで、不動産売却に際しての方法が変わります。
ケース別の売却方法や、注意点について確認していきましょう。
住宅ローンを完済してる場合
住宅ローンを完済している場合には、通常の不動産売却が可能です。
また、住宅ローンが残っていても売却金で完済できるアンダーローンであれば、通常の流れで不動産売却できます。
ただし、自己破産前の不動産売却は財産隠しとみなされるリスクがあります。
債権者への配当金を確保するとった対応も必要となるため、弁護士などの専門家と相談しながら手続きを進めていきましょう。
住宅ローンが残っている場合
不動産売却しても売却金で完済できない、オーバーローンの状態であるときは、任意売却をおこなう方法があります。
まず、オーバーローンの不動産は売却しても、売却金は抵当権者が回収します。
そのため、自己破産前に不動産売却しても財産隠しとみなされるリスクはありません。
任意売却とは、オーバーローンの不動産を借り入れ先の金融機関の承諾を得たうえで不動産売却する方法のことです。
相場価格での売却が期待できるだけでなく、債権者からの同意を得られれば売却金から引っ越し費用などを控除できます。
任意売却の注意点
金融機関から任意売却の承諾を得るためには、住宅ローンが滞納状態であることが必要です。
しかし住宅ローンを滞納すると、期限の利益を喪失して競売にかけられてしまいます。
そして住宅ローンの滞納から競売の開札までは、10か月~14か月ほどの期間があります。
つまり任意売却は、開札されるまでに代金の決済と引き渡しを終わらせていなければなりません。
自己破産が必要となるときは、すでに住宅ローンも滞納状態であることが多いでしょう。
あまり時間はかけられないため、なるべく早く不動産会社に相談することをおすすめします。
まとめ
自己破産したときの不動産売却はどのようにおこなうのか、タイミングや気を付けたいポイントについて解説しました。
自己破産前に不動産売却すると、財産隠しと判断され、借金が免除されなくなるリスクがあります。
そのため自己判断で不動産売却するのではななく、弁護士や不動産会社と相談しながら進めていくことをおすすめします。
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