別荘を購入するとき、多くの方は立地に注目しますが、火災保険や地震保険への加入も重要なポイントです。
一般的な住宅と比べて別荘は利用頻度や管理状況が異なるため、特有のリスクに対応できる保険を選ぶことが大切です。
そこで今回は、別荘は火災保険に入れるのか、加入したほうが良い理由は何か、万が一の延焼リスクに備えるための対策は何かについて解説します。
別荘は火災保険に入れる?
別荘でも火災保険や地震保険の対象となりますが、一般の住宅とは扱いが異なることがあります。
したがって保険契約時には、物件の用途が「専用住宅物件」なのか「一般物件」なのかで取り扱いが変わることを理解しておきましょう。
ここでは別荘でも火災保険に入れるのか、仕組みも踏まえて解説します。
火災保険の区分
火災保険に入れる建物は、専用住宅物件・一般物件・工場物件・倉庫物件などに区分されます。
建物の用途によって、入れる火災保険の種類や保険料などが異なる点をまず押さえておきましょう。
別荘は専用住宅物件か、一般物件として扱われます。
別荘が専用住宅物件に区分されるときは火災保険に入れる?
専用住宅物件とは家具や家電が常備されており、いつでも人が住める状態が整っている住宅を指します。
たまにしか使わない別荘でも家具や家電が備え付けられていれば、専用住宅物件として火災保険に加入できます。
このケースでは、保険料や補償内容などは一般の一戸建てとほぼ変わりありません。
ただし保険会社によっては、別荘が専用住宅物件とは認められずに火災保険に加入できないことがあります。
別荘は一般物件としてなら火災保険に入れる?
専用住宅物件とは見なされないときでも、一般物件としてなら火災保険に入れる可能性があります。
一般物件とは、店舗や事務所など居住目的ではない建物です。
別荘の使用頻度が低く短期間しか利用しないとき、保険会社によっては「一般物件」として分類されることがあります。
このケースでは保険料が割高になることがありますが、特定のリスクに対応した柔軟なプランを選べる点がメリットです。
また、近年は別荘向けの火災保険を提供している保険会社もあります。
購入した別荘に火災保険をかけるかどうか迷っている方は、まず保険会社に相談してみることをおすすめします。
別荘は地震保険に入れる?
地震多発地帯である日本では、火災保険にくわえて地震保険にも加入するのが一般的です。
とくに別荘が地震リスクの高い地域にあるときには、地震による建物の損壊や家財の被害を補償する地震保険が有用です。
ただし地震保険は単独では入れないため、火災保険とセットで加入する必要があります。
なお、別荘が一般物件に分類されたときには地震保険に加入できないため、注意が必要です。
また、別荘にかけた地震保険料は控除の対象外となる点も押さえておきましょう。
▼この記事も読まれています
不動産売却時に行われる物件調査ではなにを調べる?調査項目や流れとは
別荘も火災保険に加入したほうが良い理由
別荘には特有のリスクがあるため、火災保険への加入が推奨されます。
ここからは、その理由について解説します。
理由①常時人がいる状況にないことが多い
火災保険に加入したほうが良い理由のひとつは、別荘が一般的に短期間の利用が中心で、普段は無人の状態であることがほとんどであるためです。
したがって火災や盗難、自然災害による破損などが発生したとき、被害の発見や対応が遅れる可能性があります。
もし建物が全焼してしまったときに火災保険に加入していなかったら、自己負担で修繕や建て替えをしなければなりません。
経済的に苦しく、別荘地を手放さなければならない事態に陥ることも考えられます。
しかし火災保険に加入しておけば、何らかの被害にあったときに保険金を受け取れます。
別荘が無人状態のときに発生するリスクに備える手段として、火災保険は有用です。
理由②資産を守るための備え
大切な資産の一部である別荘を守るのであれば、火災保険に加入しておくことをおすすめします。
火災や自然災害による被害は、建物だけでなく室内の家具や家電にもおよぶことがあります。
火災保険に加入していれば、万が一の被害に対して補償が受けられるため、大切な資産を守ることが可能です。
理由③火災以外のリスクにも対応
火災保険の対象となる損害は、火災だけではありません。
自然災害・盗難・破損などで被害を受けたときでも補償を受けられるのが、火災保険に加入しておくメリットとして挙げられます。
別荘が自然災害の多い地域や人目につきにくい立地にあるときには、このような補償が安心感をもたらしてくれます。
ただし、普段は使用していない別荘に多額の保険料を支払うのはもったいないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
万が一別荘が焼失しても建て直しをする予定がないのなら、火災保険金額を物件評価額の100%で設定するのではなく、焼失した建物の撤去費用をまかなえるだけの内容にすることをおすすめします。
▼この記事も読まれています
数次相続とは?注意点や不動産を相続する際の手続き方法も解説!
別荘が周囲に被害をもたらす前にできる火災保険以外の対策
火災などが発生したときに被害を受けるのは自分の別荘だけではありません。
もしかしたら周囲の家にも被害を与えてしまうおそれがあるため、事前の備えが重要です。
ここでは、火災保険への加入以外にできる対策について解説します。
失火責任法による基本ルール
所有している別荘が火災被害にあって燃えたとき、周囲の家に燃え広がってしまうリスクがあります。
しかし日本には失火責任法があるため、火災が周囲にある他人の財産に被害をおよぼしても損害賠償責任を免れます。
ただし、別荘の所有者に重大な過失があったときにはその限りではありません。
具体的には、別荘の管理が行き届いていないために火災が起きたなどのケースです。
別荘の所有者に原因があると見なされたら、周囲の方から損害賠償を請求されるおそれがあります。
個人賠償責任保険や施設賠償責任保険の重要性
周囲の建物への延焼リスクに備えるためには、火災保険にくわえて個人賠償責任保険や施設賠償責任保険の加入を検討することをおすすめします。
これらの保険は、火災に限らず他人の財産や身体に損害を与えたときの賠償金をカバーするものであることが理由です。
たとえば、別荘の屋根の一部が台風で飛ばされて周囲の隣家を傷付けても、個人賠償責任保険に加入していれば保険金で損害賠償費用をまかなえます。
ただし、別荘によって加入できる保険が異なる点に注意しましょう。
別荘が専用住宅物件に該当するケースでは個人賠償責任保険に加入できますが、一方で一般物件のときには施設賠償責任保険に加入する形となります。
周囲の方に迷惑をかけない工夫をする
別荘が遠方にあるときには、定期的に通って維持・管理を自分でおこなうのは難しいかもしれません。
そのようなときには、不動産会社に別荘の管理を委託するのもひとつの方法です。
毎月管理費用を支払う必要はありますが、定期的にメンテナンスをおこなっていることの証拠となるため、火災などが起きても所有者に重大な過失があったとは見なされなくなります。
管理内容は費用によって異なるため、必要に応じて選択することをおすすめします。
▼この記事も読まれています
建設協力金による土地活用方法とは?メリット・デメリットを解説
まとめ
別荘でも火災保険に加入することは可能ですが、保険会社によっては専用住宅物件ではなく一般物件として扱われて保険料が高くなることがあります。
しかし別荘は常に人がいる状況にないため、万が一の事態に備える意味でも火災保険に加入しておくのがおすすめです。
また周囲の方に被害を与えてしまうリスクを想定し、火災保険にくわえて個人賠償責任保険や施設賠償責任保険にも加入しておくと安心です。