不動産売却して利益を得ると、税金を納めなくてはなりません。
しかし、不動産売却時にかかる税額は、不動産のさまざまな条件によって異なります。
「予想以上に税金がかかってしまった」と慌てることがないように、あらかじめ税金の種類や税額を把握し、準備しておくことが大切です。
そこで今回は、不動産売却を検討している方向けに、税金の種類と計算方法、税金対策ができる控除などについて解説します。
不動産売却時の税金対策!①税金の種類
不動産売却時には、仲介手数料と税金が経費としてかかる点を覚えておきましょう。
この経費のなかでも、税金はさらにいくつかの種類に分かれています。
不動産売却にかかる税金の種類について、以下に解説します。
譲渡所得税と地方税
譲渡所得税と地方税は、不動産を売却して利益を得ると、納めなければならない税金です。
不動産売却で利益を得ることは、会社員が給与を取得したり、個人事業主が収入を得たりするのと同様の考え方です。
したがって、不動産売却で利益を得ると譲渡所得税が発生します。
また、地方税には、住民税と復興特別所得税の2種類があります。
住民税は、地方自治体に納めるべき税金です。
復興特別所得税は、東日本大震災の復興における財源確保のために加わった税金です。
なお、譲渡所得は、売却額から不動産の取得費と売却時にかかった費用を差し引いて算出します。
印紙税
印紙税とは、不動産売却時に作成される売買契約書にかかる税金です。
不動産売却時には、買主と売主の間で書面上にて売買契約を交わすために、売買契約書の作成が2部必要です。
印紙税は、買主と売主がそれぞれの売買契約書に収入印紙を貼り付けて、税金を納めます。
印紙税の税額は、不動産の売却額によって異なります。
たとえば、不動産売却額が1,000〜5,000万円以下だった場合の印紙税は2万円です。
なお、令和6年3月31日までは軽減税率が適用され、上記の売却額の場合、2万円の印紙税が1万円となります。
登録免許税
登録免許税とは、不動産の権利などを、第三者に主張するための手続きである登記をするときにかかる税金です。
不動産の正式な所有者を公的に示すためにも、登記の手続きをおこなわなければなりません。
不動産売却時には、抵当権抹消登記と所有権移転登記が必要です。
所有権移転登記とは、不動産を所有しているという権利を移したことを法的に証明するために必要な手続きです。
また、抵当権抹消登記とは、住宅ローン借りる際に設定した抵当権を登記簿上から抹消する手続きのことです。
抵当権抹消は、不動産1件につき、1,000円の登録免許税がかかります。
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不動産売却時の税金対策!②税金の計算方法
不動産売却時に納める不動産所得税は、算出するまでにさまざまな計算式が必要です。
不動産所得税を算出するために必要な「不動産売却益」「減価償却費」「譲渡費用」の3つの計算方法を、以下に解説します。
不動産売却益
不動産売却益とは、不動産が売却できた価格から、不動産を取得したときにかかった費用と、不動産を売却したときにかかった費用を差し引きして算出された利益のことです。
不動産売却益は、不動産を売却した価格とは異なり、譲渡所得ともいいます。
不動産売却益の計算式は、以下のとおりです。
不動産売却益 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)- 控除金額
取得費の内訳は、不動産の購入費用や仲介手数料のほかにも、建築費やリフォーム費用などが含まれます。
取得費を算出するときに必要な減価償却費と、譲渡費用の計算方法については、次章で解説します。
減価償却費
不動産のなかでも建物は、時間の経過によって劣化し、徐々に価値が下がっていく資産です。
したがって、取得費から価値が下がった分を差し引きする減価償却の計算が必要なのです。
たとえば、築年数が20年の建物だと、新築のときと比べて20年分の資産価値が下がっているといえます。
減価償却費の計算式は、以下のとおりです。
減価償却費 = 取得費 × 0.9 × 償却率 × 使用月数
計算式にある償却率は、建物の構造や使用用途によって異なります。
非事業用によく使われる構造の償却率は以下のとおりです。
●木造:0.031
●鉄骨:0.025
●鉄筋コンクリート:0.015
また、事業用によく使われる構造の償却率は以下のとおりです。
●木造:0.046
●鉄骨:0.038
●鉄筋コンクリート:0.072
このように、建物の構造や使用用途によって、償却率は変わってくるため、減価償却費を算出するときは建物の構造と築年数を調べてから計算するようにしましょう。
譲渡費用
譲渡費用は、仲介手数料や印紙税などの不動産を売却するときにかかった費用のことです。
また、不動産を売却するために建物を壊した解体費も含まれます。
さらに、マンションやアパートなどの賃貸物件に入居していた借主を立ち退きするための費用も譲渡費用に含まれます。
譲渡費用の算出は、これらすべての費用を加算して求めましょう。
譲渡費用は、不動産を売却するときに作成された売買契約書に記載されているため、確認すると良いです。
不動産を売却するときに関わった書類は、漏れなくすべて保管しておくことが大切です。
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不動産売却時の税金対策!③控除による節税
不動産売却時に納めなければならない税金は、できる限り節税したいと思う方がほとんどでしょう。
先述した取得費や譲渡所得費を漏れなく計上する方法も、節税に繋がります。
そのほかにも、特別控除の適用を理想する節税方法もあるのです。
不動産売却時の税金対策として、節税できるおもな控除について、以下に解説します。
3,000万円特別控除
3,000万円特別控除とは、マイホームを売却した場合に受けられる可能性があり、譲渡所得から最大3,000万円の控除が適用される特例のことです。
売却価格から取得費と譲渡費用を差し引き、売却価格が3,000万円未満だった場合に適用されます。
なお、マイホームを売却するだけでなく、いくつかの適用条件がある点には注意が必要です。
あらかじめ、適用条件について確認しておきましょう。
所有期間が10年を超えるマイホームを売却した場合の軽減税率の特例
売却する不動産がマイホームであるうえに、所有期間が売却した年の1月1日時点で10年を超えている場合、譲渡所得の税率が軽減される特例です。
譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間によって異なります。
所有期間が5年以下の場合だと約40%、5年を超える場合だと約20%です。
しかし、所有期間が10年を超えるマイホームを売却した場合の軽減税率の特例が適用されると、さらに税率が下がります。
この特定が適用された場合、6千万円以下は約14%、6千万円を超える部分は約20%の税率です。
こちらの特例においても、いくつかの適用条件を満たす必要がある点には注意してください。
また、先述した3,000万円特別控除との併用が可能です。
3,000万円特別控除を適用したが0円とならなかった場合や、10年を超える不動産を売却するとき、併用が可能か確認しましょう。
なお、自動的に適用されるわけではなく、自ら適用を申請しなければなりません。
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まとめ
不動産売却時には、譲渡所得税・印紙税・登録免許税の税金を納めなければなりません。
譲渡所得税は、売却をして利益を得たときに発生する税金であり、さまざまな計算方法を用いて算出します。
経費を計上したり適用できる控除を利用したりして節税対策をおこないましょう。