相続放棄した不動産はどうなる?管理や対処法についても解説

不動産コラム

相続放棄した不動産はどうなる?管理や対処法についても解説

相続人全員が不動産の相続を放棄した場合、その不動産の扱いや今後の対応が大きな課題となるケースは少なくありません。
法律上の取り決めにより、放棄後の不動産には一定の管理責任や処分義務が発生することがあります。
空き家として放置されると、管理不全や近隣トラブルなど新たな問題を招く可能性があるため注意が必要です。
この記事では、相続放棄後の不動産の行方や適切な管理方法、取るべき対応について解説いたします。

相続人全員が不動産を相続放棄するとどうなるのか

相続人全員が不動産を相続放棄するとどうなるのか

相続放棄は「財産を受け取らない」だけでなく、その後の手続きや管理責任にも影響します。
以下では、全員が放棄した場合の不動産の行方と必要な対応について解説していきます。

すべての相続人が放棄した場合は国のものになる

民法第239条第2項は「所有者のない不動産は国庫に帰属する」と定めています。
したがって、清算手続きが完了すると残余財産は国庫へ移りますが、放棄直後に自動で帰属するわけではありません。
国庫帰属までの間は所有者不明土地となり、固定資産税の徴収が困難になりやすく、建物なら無管理状態が続く恐れがあります。
また、放置を避けるためにも早めの対応が不可欠です。
清算前には公告や債権者への弁済、特別縁故者への分与などがおこなわれます。
公告期間中に相続人が現れなければ、清算人は残った不動産を売却したうえで債務を弁済し、最終的に国庫に帰属させます。
相続人全員が放棄を検討する段階で専門家へ相談し、手続きの流れを把握しておくと安心です。
さらに、相談の際には税務署や市区町村にも問い合わせ、固定資産税や都市計画税の取扱いを確認しておくとよりスムーズです。
徴収不能となった固定資産税は滞納処分の対象外ですが、長期放置により土地が差し押さえられるケースや、建物に行政代執行がおこなわれる例も報告されています。

相続財産清算人が選任される流れ

まず初めに、相続財産清算人とは、相続人がいない場合や相続人全員が相続放棄した場合に、故人の遺産を管理・清算する人のことです。
相続人不存在となった場合、利害関係人や自治体などが家庭裁判所へ申立てをおこない、相続財産清算人が選任されます。
公告は、相続人捜索6か月以上・債権者催告2か月以上です。
清算人は不動産売却や債務清算を進め、手続き終了後に残余財産を国庫へ帰属させます。
売却が難航すると維持管理費が膨らむため、状況に応じて解体して更地にする判断も求められます。
また、費用と期間がかかるため、放棄前に見積もりを確認し、長期化リスクに備えましょう。
弁護士費用は約30万〜50万円が一般的ですが、物件数や債務の有無で大きく変動するため注意が必要です。

相続放棄を法的に証明するための手続き

相続放棄は「相続開始を知った日から3か月以内」に家庭裁判所へ申述し、受理通知書を取得して初めて成立します。
必要に応じて受理証明書を発行してもらい、金融機関や登記手続きの際に提示します。
受理証明書の申請は、放棄申述をおこなった家庭裁判所でおこない、収入印紙と本人確認書類が必要です。
なお、書類を紛失すると再発行手数料がかかるため、厳重に保管してください。
また、放棄期間を過ぎた場合は単純承認とみなされるおそれがあり、やむを得ず期限を超えた際は熟慮期間伸長の申立ても検討します。
金融機関から求められる場合に備え、提出先リストを作成しておくと手続き漏れを防げます。

▼この記事も読まれています
不動産売却時の必要書類!提出するタイミングごとの必要書類を解説

相続放棄後の家の管理は誰がする?

相続放棄後の家の管理は誰がする?

放棄後も状況によっては、管理義務が生じます。
2023年4月施行の改正民法で保存義務が明確化されたため、責任範囲を把握しておきましょう。

2023年4月以降の新たな規定に基づく管理義務

改正民法は、放棄した者が被相続人の財産を「現に占有」している場合、自己の財産と同程度の注意で保存する義務を課しました。
たとえば、亡くなった親と同居していた子が放棄しても、次の管理者が決まるまで家屋を最低限維持する必要があります。
義務を負う期間は限定的ですが、雨漏り修繕や防犯対策など最低限の措置を怠ると損害賠償の対象になり得ます。
火災保険が切れている場合は短期契約でも加入し、第三者被害をカバーする備えを検討しましょう。
雨戸やフェンスを閉じ、見回り記録を残すなど、客観的に義務を果たした証拠を保管すると後日の紛争予防になります。

現に占有している者が管理義務を負う場合

義務の有無は、実際の占有状況で判断されます。
生前別居で家に関与していなかった相続人が放棄した場合、原則として義務は負いませんが、判断が難しいときは専門家へ相談しましょう。
占有の有無は、鍵の保管状況や公共料金の契約名義など、客観的事実で判断されるため注意が必要です。
なお、管理が困難な場合は、地域の見守りサービスを活用する方法もあります。

保存義務を果たさなかった場合のリスク

義務を怠ると、倒壊・行政指導・費用負担などのリスクが生じます。
空き家対策が厳格化する中で責任追及もあり得るため、早めに対応策を講じましょう。
また、特定空家等に指定されると、修繕・除却の勧告や命令に従わなければ行政代執行費用を負担する場合があります。
さらに、固定資産税の住宅用地特例が解除され、税額が最大6倍になる点にも注意が必要です。
不安が大きい場合は、自治体の空き家相談窓口や弁護士へ早期に相談しましょう。

▼この記事も読まれています
不動産売却で買取保証を利用できる条件とは?メリットや注意点を解説

相続放棄によって空き家になる場合の対処法

相続放棄によって空き家になる場合の対処法

空き家を放置すると地域へ悪影響を与えます。
リスクを把握し、適切に管理または処分することが重要です。
以下では、相続放棄によって空き家になった家を放置することで起こる近隣への影響と対処法について、解説していきます。

放置することによるリスクと近隣への影響

まず、老朽化により、倒壊の恐れがあります。
また、不法侵入や放火など犯罪の温床にもなります。
見た目の悪化で資産価値が下がり、周辺住民の生活環境にも影響します。
くわえて、雑草や害虫の発生が近隣トラブルに発展する例も報告されています。
地域によっては、景観重要地区の条例違反に問われる場合もあるため、管理不全は避けましょう。
近隣住民が自治体へ連絡し指導を求める事例も増えているため、早期の対応が信頼関係の維持に直結します。

相続財産清算人の選任による対処方法

相続財産清算人は、不動産の売却や解体を弁護士などの専門家が主導し、法的に処理します。
これは、空き家問題の抜本的解決策として有効です。
清算人は、売却価格の査定や解体工事の見積もりを取り、費用対効果を勘案して手続きを進めます。
自治体の解体補助金制度を併用すれば、自己負担を抑えつつ老朽家屋を更地化できます。
また、条件が合えば住宅確保要配慮者向け賃貸物件へ転用し、地域活用を図る選択肢も検討できます。

家庭裁判所を通じた正式な手続きの進め方

清算人選任は、家庭裁判所への申立書ほか、戸籍・登記事項証明書等が必要です。
まず、官報公告期間経過後、清算人が遺産整理を開始します。
費用負担の試算や手続きスケジュールを事前に共有できると、利害関係者との調整が円滑になります。
また、空き家の維持管理費や固定資産税を誰が負担するかを事前に協議し、負担者を明確にしておくとトラブルを避けられます。
手続きが煩雑な場合は、司法書士や行政書士に依頼し、書類準備を代行してもらう方法もあります。
なお、遠方に住んでいて管理が難しい相続人は、定期巡回サービスと併せて専門家へ包括委任契約を結ぶと負担を大幅に軽減できます。

▼この記事も読まれています
単純売却の概要とは?メリットと利用するための注意点についても解説!

まとめ

相続人全員が不動産を放棄した場合、清算手続き終了後には残余財産が国庫に帰属しますが、その過程には多くの注意点があります。
相続放棄の手続き完了までの間や空き家の管理責任については、適切に対応しないと法的リスクが生じる可能性があるのです。
地域トラブルを防ぎ安心して手続きを進めるためにも、事前に必要な情報を整理し、専門家への相談を検討することをおすすめします。
早めの情報収集と役割分担が円滑な手続きに繋がることを覚えておきましょう。

株式会社ヘヤミセの写真

株式会社ヘヤミセ

長崎市 / 諫早市 / 大村市を中心に地域に密着したサービスを展開し、住まいに関するご相談に親身かつ誠実に対応しています。
不動産は生活の土台となる存在だからこそ、一人ひとりのニーズに寄り添うご提案を大切にしています。

■強み
・長崎エリアに特化した豊富な物件情報
・空室対策を含むオーナー様向けサポートにも対応

■事業
・単身者向け~ファミリー向けの賃貸 / 売買物件
・投資用 / 収益物件のご相談も可能


”不動産コラム”おすすめ記事

  • 路線価とは?相続対策や補正率の適用についても解説の画像

    路線価とは?相続対策や補正率の適用についても解説

    不動産コラム

  • エアコンの選び方で事前に確認することは?サイズの決め方や注意点を解説!の画像

    エアコンの選び方で事前に確認することは?サイズの決め方や注意点を解説!

    不動産コラム

  • 相続税の申告を自分でする際の流れについて!注意すべきポイントも解説の画像

    相続税の申告を自分でする際の流れについて!注意すべきポイントも解説

    不動産コラム

  • マンションやアパートで使える「くん煙剤」の種類は?使用方法や注意点を解説の画像

    マンションやアパートで使える「くん煙剤」の種類は?使用方法や注意点を解説

    不動産コラム

  • 共有持分の放棄について!手続きの流れや申請時の注意点も解説の画像

    共有持分の放棄について!手続きの流れや申請時の注意点も解説

    不動産コラム

  • 1LDKでも子育てできる?空間活用や生活の工夫についても解説の画像

    1LDKでも子育てできる?空間活用や生活の工夫についても解説

    不動産コラム

もっと見る
来店予約