夢の住まいを手に入れるために、住宅ローンを検討している方も多いでしょうが、最長35年の長い期間をかけて返済していかなければなりません。
借りる前の問題や、借りた後の人生の変化によって返済が困難になり、失敗したと後悔する方も居るのではないでしょうか。
そこで本記事では、住宅ローンの借り方や失敗例などをご紹介します。
住宅ローンで失敗する借り方と対策
審査をクリアして住宅ローンを利用できるようになっても、借り方や返済プランの選択を誤って上手く活用できなかったケースも存在します。
どのような借り方で失敗が起きるのでしょうか。
返済期間が長すぎる借り方による失敗
返済期間が長い場合、月々の返済額は軽減されますが、将来の収支の変化によって、返済が困難になる可能性もあるでしょう。
住宅ローンの返済期間は最大で35年まで延長できるため、月ごとの返済額を軽減できるよう、35年間の返済プランを選ぶ方も多いです。
金利0.44%で3千万円の住宅ローンを35年間で返済する場合、月々の返済額は約7.7万円になります。
一方、同じ金額を25年間で返済すると、月々の返済額は約10.6万円となり、差額から考えると、35年返済を選択するメリットもあるでしょう。
しかし、35歳で住宅を購入し、35年間返済した場合、完済は70歳となります。
定年退職が65歳であれば、その後の5年間、返済を続ける必要が生じます。
再就職が難しいケースも少なくありませんので、定年退職までに完済できる期間を考慮しましょう。
金利選びを間違えた借り方で失敗
住宅ローンにおいて、金利選びは重要なポイントです。
固定金利は主に1%台で設定されており、変動金利に比べるとコストが高めです。
もし将来的に長期間にわたって金利が上昇しない場合、変動金利に比べて総返済額が何百万円も増える可能性があるでしょう。
一方、変動金利は、現在は0.4%〜0.6%前後の極めて低い金利で借り入れできます。
ただし、将来的に金利が上昇する可能性を忘れてはなりません。
金利が上昇すると、固定金利で借りるよりも、返済額が増加する場合もあります。
もし金利が急上昇すれば返済が難しくなり、返済不能状態に陥る可能性もあるでしょう。
ボーナス返済をあてにした借り方で失敗
ボーナス返済を組み合わせれば、月々の負担を減らせます。
たとえば、4千万円を金利1.35%、35年間の返済プランで借りる場合、ボーナス返済なしのケースでは、毎月約12万円の返済が必要です。
一方、ボーナス支給時に25万円、年に2回で合計50万円のボーナス返済をおこなうと、毎月の返済額は約6.7万円に軽減されます。
しかし、月々の負担は大きく減らせますが、それだけボーナスの時期に多額の返済をおこなわなければなりません。
好調な経済状況下でのボーナスを基準に計画し、その後企業業績が悪化しボーナスが大幅に削減されたため、返済に苦しむ事例も存在します。
ボーナスで返済する金額は、慎重に考慮して決定しましょう。
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住宅ローンを借りる前の失敗と対策
住宅ローンを借りる前の準備段階での対応に問題があったため、結果的に承認を得られなかった例がありました。
借りる前のどのような要因が問題となり、住宅ローンの利用に失敗したかについてご紹介していきます。
自動車を分割払いで購入していた
住宅ローンの審査において、一般的に返済負担率が適用され、多くの金融機関では、返済負担率が年収の35%以下としています。
具体的には、年収が500万円の場合、年間の返済額は175万円以下と考えて良いでしょう。
年間返済額には、住宅ローンの返済だけでなく、クレジットカードのリボ払いやカードローン、奨学金など、他のローンの返済額も含まれます。
審査段階において、自動車ローン返済中であったため、返済負担率を満たせなかった事例が存在します。
クレジットカードなどの滞納
ローンやクレジットカードの支払いが滞った経験があると、履歴が個人信用情報に記録されるため、審査において不承認となる可能性があるでしょう。
個人信用情報は、通常「ブラックリスト」として知られ、主に銀行系、カード系、消費者金融系の3つの機関が、奨学金やその他のローン契約などのデータを保持しています。
もし過去に支払いの遅延が繰り返されたか、過去5年以内に債務整理をおこなったなど、金融取引において問題があった場合、金融事故歴が個人信用情報に登録されます。
このような登録情報が複数ある場合、住宅ローンの審査の通過が難しくなる可能性が高いでしょう。
諸経費を用意していなかった
住宅ローンを申し込む際には、手数料や保証料などのさまざまな諸経費が必要となります。
これら諸経費は、基本的には現金での用意が必要です。
とくに融資手数料や保証料は、高額になるため、注意しましょう。
融資手数料とは、住宅ローンを借り入れる際に発生する費用です。
たとえば、ネット銀行では、融資額の2.2%(消費税込み)が融資手数料として設定されており、3000万円の場合、手数料は66万円に相当します。
一方、通常の銀行は、融資手数料を3万〜6万円の範囲で設定しています。
ただし、保証料については状況が異なり、ネット銀行では、保証料を無料としている場合が多いです。
しかし、通常の銀行は保証料が比較的高めに設定されています。
一括前払い型の場合、借入時に所定の保証料を一括で支払います。
通常、返済期間が35年の場合、融資額1,000万円ごとに約20万円必要とされていて、3,000万円を借りる場合、保証料として60万円が必要です。
金融機関やその他の条件によって異なる可能性がありますが、約50〜100万円の諸費用が必要となります。
借りる前に、これらの諸費用を手元に用意していないと、住宅ローンの申し込みはできませんので、留意しましょう。
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住宅ローンを借りた後の失敗と対策
返済を順調に進めていた方でも、借りたあとで予期しない出来事が起こり返済が難しくなったケースもあるでしょう。
借りた後、どのような要因で利用に失敗したかをご紹介します。
借りたあとで退職した
フラット35の場合、夫婦が共同で1つのローン契約を結べます。
一般的な住宅ローンでも、夫婦が別々にローン契約を結ぶ「ペアローン」の利用が可能です。
ただし、夫婦でローンを組む際には、将来の出産後の働き方の変化を考慮しておきましょう。
理想の保育施設が見つからなかったため、妻が育児を理由に退職したり、子どもの健康状態が不安定で時短勤務を選択したりといったケースも考えられます。
夫婦で住宅ローンをともに借りる際には、育児休暇などで配偶者の収入が減少する可能性も考慮しておきましょう。
住宅ローン控除の確定申告を忘れていた
住宅ローン控除とは、年末時点ローンの元金残高の1%相当額が、10年間(特定条件を満たせば最長で13年間)にわたって控除される、税金の優遇制度です。
節税効果がありますが、住宅購入後の翌年に確定申告をおこなわないと、控除の対象外となります。
給与所得者のなかには確定申告をおこなう習慣がない方もおり、控除の適用を見逃してしまうケースも少なくありません。
忘れずに確定申告で控除の手続きをおこないましょう。
繰り上げ返済で無理をした
繰り上げ返済すると、毎月の返済額を軽減したり、返済期間を短縮したりできるため、経済的な余裕がある場合には、繰り上げ返済も良いでしょう。
しかし、無理して繰り上げ返済をおこなった結果、手元の資金が不足し、やむを得ず高金利のカードローンから借りるといった、本末転倒的なケースも見受けられます。
過度な繰り上げ返済は家計に負担をかける可能性があるため、無理のない範囲で返済計画を立てましょう。
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まとめ
ローンやクレジットカードの支払いが滞った経験があると、履歴が個人信用情報に記録されるため、借りる前の審査において不承認となる可能性があるでしょう。
借りた後も、繰り上げ返済で無理したり、確定申告で控除の手続きを忘れたりといったケースもありますので注意が必要です。