住み替えをするときは、今までの家の売却と、新居の購入を同時に進めなくてはいけません。
ところが、必ずしも同時に契約が成立するとは限らず、タイミングによってはダブルローンの状態になってしまうこともあります。
ダブルローンとはその名の通り二つのローンを同時に支払っていく状態で、家計の負担が大きいですが、使い方によっては便利でもあります。
今回の記事では、どういったときにダブルローンになるのか、利用する方法とメリット・デメリットについて解説します。
住み替えのダブルローンとは
そもそもダブルローンとは何なのでしょうか。
ローンが2重の状態
ダブルローンとは、ローンを2重で契約している状態を指します。
基本的にマイホームを購入する際は、1つのローンを契約する流れとなります。
そのため、ローンが2重になるのは、多くの場合住み替えをおこなったケースです。
以前、マイホームをローンで購入し、新しいマイホームもローンで購入した場合、このような状態となります。
当然ながらダブルローンの場合、それぞれの借入金を返済しなくてはなりません。
月々に支払う金額が多くなりますが、まとまった資金を準備できない場合、住み替えの際にダブルローンを利用することは決して珍しくありません。
借り入れする場合は審査が必要
2重でローンを契約するということは、ローンを一つだけ返済していくより負担は大きくなります。
契約の際は、年収のうち年間返済額がどの程度の割合になるかを示す「返済負担率」に応じて、借入可能かが判断されます。
つまり、ローンを2重で契約するためには、ある程度の収入がないと難しいのです。
ただし、その返済負担率が何%に設定されているのかは、金融機関によって差があるため一概にはいえません。
たとえば年収が500万円の場合、返済負担率20%は100万円となります。
あくまでもこの範囲内でローン返済できるものとみなされるため、2重で契約したときにこの範囲内を超えてしまう場合は、利用が難しくなります。
金融機関が「2重で融資しても問題ない」と判断できるレベルの収入がないと、利用は難しくなってくるのが現実です。
残債によっては住み替えローンを利用する選択肢もあるため、自分にとってベストな方法を選別する必要があります。
買い先行の場合に便利
ダブルローンは、主に買い先行の場合に利用されています。
買い先行とは、引っ越し先となるマイホームを先に購入してから、昔に住んでいた物件を売却する方法です。
引っ越し先が決まっていないのに物件を売却してしまうと、住む場所が一定期間無くなってしまいます。
この場合は仮住まい先を探し契約する作業が必要ですが、当然ながらコストもかかります。
契約する賃貸物件によっては立地が不便なケースもあるため、余計なお金をかけるなら最初から新居となる住まいを探しておいたほうがよかったと後悔する方も多いです。
ダブルローンを活用すれば、こうした問題を解消できます。
新居に住んでいる状態でじっくり売却活動ができるため、焦らずに買主を見つけられます。
住む場所にも困らず、仮住まい先でストレスを感じずに済むため、多くの方は買い先行での住み替えに利用しているのです。
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住み替えのダブルローンを利用するための条件
住み替えでダブルローンを利用するには、どのような条件があるのでしょうか。
同じ金融機関
以前利用した金融機関と同じ場合、ダブルローンの申請手続きが承認されやすい可能性があります。
具体的には、借入残高が担保額の50~70%以内の場合です。
また、現在の物件を一定期までに売却する、または売却が難しい場合は住宅ローンをフリーローンに変更するなどの条件も考えられます。
金融機関からすると、ローンを2重で契約させた場合、返済が難しくなるリスクを考慮しなくてはなりません。
貸し倒れによる問題を解消するためにも、このようにいくつかの条件付きで契約を許可するケースが多いです。
また、ローンを2重で契約する場合、担保評価額が重要視されます。
これは住宅ローンが返せなくなってしまった場合、その物件を売却して貸付金を回収しようとするためです。
そのため、担保評価額が高ければ高いほど、回収できる金額が多くなります。
一般的に担保評価額が低くなるのは、木造建築の物件や、築年数が古い建物です。
こうした特徴に当てはまる住まいに引っ越す場合、住宅ローンの審査を通過しない可能性があるので気を付けてください。
基本的には異なる金融機関がおすすめ
ここまで解説しましたが、不動産業界において住み替えでローンを2重で契約する場合、異なる金融機関を利用するケースが多いです。
この理由は、そもそも同じ金融機関でローンを2重で契約できない場合がほとんどであるためです。
もちろん、なかには手続きができる金融機関もありますが、ごくわずかとなっています。
また、先述したように担保評価額が低い物件の場合、たとえ申請が可能であっても利用ができない可能性もあります。
その場合、やはり住み替え先の希望条件を変更するなどの工夫が必要です。
こうしたポイントを考慮すると、別の金融機関で申請手続きをしたほうがスムーズです。
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住み替えでダブルローンを利用するメリット・デメリット
ダブルローンを利用すると、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
仮住まいの必要がない
メリットとして挙げられるのが、仮住まいの必要がなくなる点です。
買い先行で住み替えをする場合、ダブルローンを利用する流れとなります。
この場合は、新しく購入したマイホームで暮らしながら売却活動ができるため、仮住まい先を探す必要がないのです。
物件探しをするのはそれなりの手間がかかります。
通勤・通学に支障がないように、予算内の物件が見つかるまで情報収集するのはストレスになりがちです。
さらに、当然ながら物件契約には費用がかかります。
入居・退去にもお金がかかり、家賃を支払い続ける必要があるほか、集合住宅だと他の住民への配慮も必須です。
こうした環境で生活するのが嫌な場合、やはり買い先行での購入はメリットが大きいと考えられるでしょう。
また、仮住まい先から早く引っ越したい思いが強くなると、住み替え先の条件があいまいになりがちです。
「とにかく早く引っ越したい」と考えすぎるあまり、希望条件を満たしていないのに焦って住まいを購入し、後悔する羽目になるケースもあります。
こうしたリスクを解消し、じっくり売却活動ができるのは、買い先行のメリットです。
金銭的に余裕がないと難しい
デメリットとして、そもそも2重でローンを契約するためには、一定以上の収入が必要な点が挙げられます。
金融機関は返済能力の有無を重視して、ローンを契約するかを判断します。
1回目はローンを契約できたとしても、次も問題なく住宅ローンの審査を通過できるとは限りません。
ローンが2重で契約している状態は、そもそも負担が大きい状態となります。
場合によっては生活状況が悪化してしまう事態も考えられるため、こうしたリスクを考慮したうえで利用しなくてはなりません。
生活の質が下がる、趣味や娯楽を楽しめなくなるなどの可能性もあるため、十分な余裕がない限りは買い先行での住み替えは控えたほうが良いでしょう。
当然ながら返済額も増えてしまうので、利用する前にマネープランを立ててから考えましょう。
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まとめ
ダブルローンは2重でローンを契約している状態を指し、住み替えの際に役立ちます。
ただし、すべての方が利用できるわけではなく、十分な返済能力が必要です。
仮住まい先を探す必要がないですが、資金的に圧迫されるリスクも考慮しましょう。